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なぜ疲れが取れる?お風呂研究20年の専門家による正しい入浴方法

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身体の疲れを取ったり、リフレッシュした気分にしてくれるお風呂。
日本人は古来より風呂好きの民族と言われてますが、最近になって若年層を中心にシャワーで済ませて入浴はしないという方が徐々に増えているそうです。
また、お風呂の正しい入り方については習う機会もないため、風呂好きの日本人と言えども間違った入浴法をしてる方がかなり多いんだとか。アナタは大丈夫でしょうか?

という訳で今回はお風呂研究20年、温泉療法専門医の早坂信哉さん著書『最高の入浴法』より、お風呂に入るメリットと正しい入浴方法について解説します。

お風呂で疲れが取れるメカニズム

さて、そもそも身体が疲れる原因は何なのでしょうか?
答えは生命活動を行った結果出る老廃物(二酸化炭素、活性酸素、炎症物質など)です。
これら老廃物を除去し、新たに酸素や栄養を補給することによって疲労回復をします

そうなると気になるのが「どうやって身体は老廃物を駆除しているのか?」でしょう。
実はここにお風呂が疲労回復に繋がるメカニズムがありまして、老廃物の回収は血液が行っています。またご存知の通り栄養を運んでいるのも血液です。
つまり血液を身体の隅々まで円滑に運ぶことが疲労回復に重要ということです。

その点、お風呂には血管を広げ血液の循環を促す作用がありますから、これがお風呂に入ることによって疲れが取れるメカニズムになります。
また疲労回復を謳う入浴剤には血管を広げ、血流をさらに良くする成分が含まれています。
泡が出る「炭酸系」の入浴剤なんかがそうですので、入浴剤を入れたときにシュワーっとしてるのがあれば「あっ、これは疲労回復系なんだな」とわかります。入浴剤を使う時に観察してみるのも面白いでしょう。

お湯の温度は40℃で

「なるほど、じゃあ血管をたくさん広げればそれだけ疲労が取れやすくなるからより熱いお風呂に入ればいいってことですね!」

そう思った方、いい発想力ですが残念ながら事はそんな単純ではありません。
アナタも自律神経という言葉を聞いたことあると思いますが、自律神経にも『交感神経』と『副交感神経』の二種類があります。

身体が強張り戦闘体勢になるのが交感神経優位の状態で、反対にリラックスして身体の緊張が取れているのが副交感神経優位の状態です。
そして熱いフライパンを触って身体が強張るのと同じように、熱いお湯に入るのも身体を強張らせる(交感神経優位の)原因になります。

つまりリラックス目的でお風呂に入る場合、熱いお風呂に入るのは得策ではありません
人によってはヌルく感じるかもしれない40℃が副交感神経優位(リラックス状態)になる境い目なので、著者の早坂さんは40℃の湯船に浸かるのを推奨しています。

熱いお湯を逆手に取る

ただし、逆に熱いお湯を浴びるほうが良いケースもあります。
それは目を覚ましたいときです。

熱いシャワーを浴びることにより交感神経が優位になり、短時間で身体を覚醒状態にしてくれます。
もっとも、いきなり熱いお湯を浴びるのは心臓への負担も大きいので「ぬるめ→温かめ→熱め」という風に段階的に温度を上げるようにしましょう。

 

半身浴はNG! 10~15分『全身浴』で肩まで浸かる

一時期「半身浴」が流行りましたよね。
そのため半身浴が良いものだと考えてる人も多いと思います。
しかし疲労回復を目的とした入浴では肩まで浸かる『全身浴』が基本だと早坂さんは言います。

というのも水中では浮力が発生し通常の「10分の1」程度しか身体に負荷がかかりません。
すると水中にいる間は関節や筋肉の緊張が弛みリラックスすることができます。
この恩恵を最大限享受するためにも、半身浴ではなく全身浴が推奨されるんですね。

それからお風呂に浸かる時間は10~15分程度で十分です。
天然の保湿成分であるセラミドはお湯で流れてしまいます。そのため必要以上に長風呂をしたり、一日に何度もお風呂に入ると乾燥肌を引き起こしてしまいます。

お風呂で汗をかいてもダイエット効果はほとんどない

とはいっても「お風呂に入ると汗をかくから長く入ればダイエット効果になるのでは?」と考え、『半身浴で長風呂するのが良い』という考えを捨てきれない人もいるでしょう。
ただし残念ながらお風呂でかいた汗ではダイエット効果はほとんどありません。
その理由は汗をかく理由にあります。

運動をすると汗をかきますが、これは身体に蓄積されたエネルギー(脂肪など)が燃焼されることで体温が上がるので、それを下げるために汗が出ます。
一方お風呂の場合、お湯から熱を奪うことによって体温が上がり汗をかきます。
つまりまったくもってエネルギーを使ってないので汗をかいても痩せないのです。

ですが入浴には間接的にダイエット効果が期待できるのも事実。
お湯につかると皮膚表面に血液が分散し、胃や腸の働きが抑制され食欲を抑える効果があります
また、食後に血糖値が高すぎると脂肪になりやすいのですが、食後の入浴には高血糖を防ぐ効果があるとの報告が以前の研究から挙がっています。

なので入浴自体には多少のダイエット効果が期待できます。
しかしそれは半身浴だから得られるものではなく、全身浴でも同様に得られるものなのです。

アスリートも実践する温冷交代浴

より疲れを取りやすくなる入浴方法としてアスリートも実践する温冷交代浴があります。
これは名前の通り温かいお湯と冷たい水を交互に浴びるという方法です。
この温冷交代浴については本書以外にも山田知生さん著書『スタンフォード式 疲れない体』なんかでも紹介されており、2013年には筋肉疲労と温冷交代浴に関する18の学術研究を調査した研究結果で温冷交代浴が評価されています。

ただこれらの研究は欧米人を対象にしたものがほとんどで、一般の日本人が完全に真似をすると負担が大きく、そのため早坂さんは独自に以下の入浴法を提唱しています。

1、40℃のお湯に三分間肩まで浸かる
2、湯船から出て30℃程度のぬるま湯を手足の先に30秒かける
3、1と2を三回繰り返す
4、最後にお湯に浸かって終了

もちろん身体が冷感刺激に慣れてきたら30℃より冷たくても問題ありません。
自分の身体と無理のない範囲で行いましょう。
ちなみにアスリート向けの更に効果が高い方法についてはコチラの記事をどうぞ。

 

湯上り後のスキンケアは10分以内

スキンケアはお風呂から上がってすぐにと言いますよね。
では具体的にお風呂からあがってどれくらいまでがセーフティーラインなのでしょう?

早坂さんの研究チームが行った測定によると、お風呂から出て10分後までは入浴前より皮膚水分量が多いことがわかりました。そして10分を超えると水分量は入浴前と同程度まで戻ってしまうようです。
つまりスキンケアのタイムリミットはお風呂からあがって10分以内ということになります。

それから気をつけていただきたいのがお風呂から出て30分後には入浴前より水分量が減っているということです。
個人的にはかなり驚きなんですが、お風呂上がりはそれだけ急激に乾燥するようですので、デッドラインは入浴後30分だと心得ておきましょう。

終わりに

ということで正しい入浴方法についてご紹介してきました。
お風呂はリラックス効果が高いものですから、ぜひ正しい方法で入って効果を高めましょう!
今回参考にした本はコチラ。


本記事では基本的なことをお伝えしてきましたが、『最高の入浴法』には他にも『風邪・冷え性・アトピー・花粉症・二日酔い・生理痛』といった不調別の入浴法や温泉を使ったテラピーなど、今回紹介できなかったことがかなり載ってます。

良い本ですので興味出てきたって方は是非手に取ってみてください。
それからアナタに合いそうな記事はコチラ!

それでは今回はこの辺で。
今後も有益な情報を発信していきますので参考になったという方は
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