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【親は知っておくべき】私たちが『スキルを身に付ける』には何が大切なのか?

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日々の生活の中でふと「英語が出来たらいいのにな」とか「〇〇の資格取ろうかな?」と考えたことありませんか?
実はスキルを身につけるには3つのステップがあります。
この段階を踏み外すと練習や勉強を継続できなかったり、途中で挫折してしまうのです。

というわけで今回は『スキルを身に付ける』のに重要な3つのステップについて解説します。
知らないままでいると、自分だけでなく子供や部下の芽を摘んでしまいかねません。
そうならないためにも是非最後まで目を通していただければと思います。それではどうぞ。

 

アメリカで生まれた双子の話

アメリカのとある場所で貧しいピアニストを母に持つ一卵性双生児の姉妹が誕生した。
二人の姉妹は「自分では子供たちを育てることはできない」と察した母によって養子へと出され、別々の家庭で育てられることになる。
一人は音楽教師の家に、もう一人は音楽に何の興味もないふつうの労働者の家にもらわれた。
そして大人になった姉妹たちは、かたやプロのピアニストになり、かたや音楽とはまったく関係のない職業についていた。

さて、この話の面白いところは(一卵性双生児なので)同程度の才能があったはずの姉妹で、プロのピアニストになっていたのが音楽に何の興味もない労働者に引き取られた方だったことだ。
普通に考えたら、最初から環境が整っていそうな音楽教師の家に引き取られた姉妹のほうがプロのピアニストになると思うだろう。なぜこのような不思議な結果になったのか?

重要なのは環境だけど・・・

紐解いていけば簡単な話だった。
労働者に引き取られた姉妹は、ちょっと上手くできたら褒められる環境にあったが、音楽教師のもとに引き取られた姉妹はそうではなかったのだ。

よく褒められた姉妹は、次第に「音楽が得意」なことを自分のアイデンティティと認めていき、音楽に対する熱意をどんどん高めていった。
一方、音楽教師の下で育った姉妹は求められる水準が高かったり、周りに音楽が得意な子が集まる環境にあったため自分に対して「音楽が得意」というアイデンティティを持つことが出来なかった。

この結果からわかるように熱意を持つ前の初期段階で重要なのは
ポジティブなアイデンティティを形成することであり、ポジティブなフィードバックである。
設備が整っているという設備の充足的環境は初期段階では必要ない。
むしろ上記のように場合によっては邪魔になることすらある。

 

三人の娘を世界トップクラスのチェスプレイヤーに育てた心理学者

さて、もう少し掘り下げるために別のエピソードを紹介しよう。

ハンガリーの心理学者マズロ・ボルガーは妻のクララと一緒に壮大な実験に乗り出した。
それは産まれて来た子供たちをチェスのトッププロにするというもの。

結論から言えばこの試みは成功し、中でも三女のジュディットは当時のグランドマスター最年少記録を樹立。その後引退までの25年間ものあいだ女性チェスプレイヤーの世界ランク1位に君臨するレジェンドプレイヤーを産み出した。
さて、ボルガーはどのようにして三人の娘をトップクラスのチェスプレイヤーへと導いたのか?

最初の教師は優秀な人より誉め上手なのが大事

実のところ、未来のエキスパートが最初にレッスンを受ける相手の多くは、その道のエキスパートではない。子供と接するのが上手な教師なのだ。
つまり子供をヤル気にさせる褒め上手こそ、最初の教師としてベストな人選になる。
実際、上手く娘たちの好奇心を刺激してチェスに興味を持たせたボルガーも、最初こそ娘たちに自分でチェスを教えていたが、いつしかその役目をその道のプロに譲っている。

しかし、親としてもう一つ大事な役割がある。
子供に「自己規律」「努力」「責任」「時間を生産的に使う事の大切さ」を教え、そういった価値観を持って練習に取り組むよう促すことだ。
そうしなければ自身の限界を突破しようとせず、大したスキルを身に付けることは出来ない。

英才教育を取り入れるならいつ?

ところで、英才教育を取り入れるならいつにすべきなのだろうか?
結論としてはアイデンティティが確立した後だろう。

ボルガーの例で言うなら子供たちが「私はチェス遊びが好き」という動機を持ってからにすべきだし、アメリカの姉妹の例で言うなら「音楽が好き」とか「みんなよりピアノを弾くのが上手」という認識を持ってからにすべきだ。
そうしなければスキルを身に付けるまでに心が折れてしまう。
なぜなら人間には「強制されることが嫌いで、何者にも縛られず自由でありたい」という心理的リアクタンスが存在するからだ。

もちろん、これまでの話は当然ながら子供だけでなく大人にも当てはまる。
では、これらの事象を自身で活用するにはどうすればいいか?
振り返りながらさらに掘り下げよう。 

 

スキルを身に付けるまでのステップ

1.興味を持つ

ファーストステップは「興味を持つ」ことだ。
究極的に言ってしまえば「学校の勉強」のように、興味ないけど強制的にやらされた事だってスキル自体は身につくが、その習得速度は亀のように遅い。
そのためここでは「興味を持つ」ことも一つのステップとして紹介させてもらう。

ところで、あなたは具体的に何かに対して「興味を持つ」方法をご存じだろうか?
多くの場合において「あれなんだろ?」とか「あれ面白そう!」という直感に従うことが「興味を持った」と実感できる場面だろう。だから意識的に何かに対して興味を持つことって「不可能じゃない?」と思うかもしれないが、そんなことはない。
実は触れ合ったり、知ることでも興味を持つことができる
みなさんも一度くらいは

「初めは興味なかったけど、やってみたら面白かった!」
「最初は全然できなくてつまらなかったけど、出来るようになったら面白くなった!」
「バラバラだったピースが繋がって知識と理解が一気に深まって楽しい!」

といった経験があるはずだ。
私も過去に『「食に興味なし」だった私がどうやって「料理を作る」までになったのか?』という記事を投稿しました。
その中でも興味を作るキッカケとなったのは「マインドフルネス」だと述べている。
マインドフルネスとは「いまこの瞬間」を全力で体感するものであり、私はこのとき料理と深く触れ合ったのです。(詳しくは記事を読んでほしい)

これから皆さんも会社や先生の都合・自身の健康などといった様々な要因で「興味ないけどやらなくちゃいけないもの・やったほうがいいもの」と向き合う時が来るだろう。
そうした時に「なんのためにやるんだよ」とか「めんどくせぇ」とか言った自分の感情や感想はとりあえず一旦ほっといて対象と触れ合ったり理解を深めたりすれば自然と興味を持てるようになるはずだ。人間の脳はそのように出来ているのだから。 

2.人間環境を整える

スキルを身に付けるまでのセカンドステップは「人間環境を整える」ことだ。
アメリカの双子姉妹の例のように、設備環境よりも人間環境のほうを優先的に整える必要がある。

なぜ人間環境が重要なのかについてはテレサ・アマビールとスティーブン・グレイマーのモチベーション研究からわかる。
テレサとスティーブンはモチベーションを左右する大きな要素は「進捗」と「環境」だと語り、「良い環境」の中には人間関係も含まれていた。
そして良い人間関係とは

互いに尊敬・尊重し合える
困っている仲間がいたら助け合える
褒め合えることができる

と言ったことが挙げられていた。
そしてこうした環境に長く浸かることで、最初は「興味」程度だったものが「好き」となり「私自身を構成するもの」というアイデンティティになる。ここまで来ると多少の挫折や失敗で心が完全に折れ、すべてを投げ出してしまうことはほとんどないだろう。

3.設備環境を整える

そして最後はよりよい設備環境を整えることだ。一流の講師を招くのもここに当たる。
といってもアイデンティティを構成するまでに到達しているなら、ほとんどの場合においてその分野のスキルは既に身についていることだろう。
なのでそうした場合は「より技術を磨くため」ということになる。

問題なのは「好き」になる前の興味段階で設備環境を整えた場合だ。
この段階では簡単な失敗でも心が折れ、投げ出してしまったり自分には合わないと切り捨ててしまう事がある。アメリカの双子姉妹のピアニストにならなかった方がまさにコレだ。
それを予防してくれるのがよい人間環境だからこそ、設備環境より人間環境を優先するのだ。実際に仲間がいたほうがモチベーションが上がるという研究結果もある。

こうしたモチベーションを上げる方法については
過去に詳しく解説したものがありますので是非そちらを参考にしてください。

終わりに

というわけで、私たちがスキルを身に付けるためには何が大切なのかというお話でした。
初期段階においては特に周囲からの影響が大きく、継続的な練習を続けられるかは本人の資質と片づけないほうがいいだろう。
これらの情報を踏まえた上で、私たちは今後「どのように興味を持つか?(持たせるか?)」という問題に、いかに上手く対処するかが重要となってくる。
親・経営者・コーチなど、人の上に立って導く人たちは特に力を入れてほしいと私は思っている。

今回参考にしたのはコチラ。
特に『超一流になるのは才能か努力か?』と『マネジャーの最も大切な仕事』は個人的にかなり推してるので、興味のある方は手に取ってみてください。『超一流になるのは才能か努力か?』は能力を伸ばすのに何が大切なのかを説いてて『マネジャーの最も大切な仕事』はモチベーションを作るものは何かを教えてくれます。

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それでは今回はこの辺で。
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