脳科学×心理学で読み解く人生のガイドライン

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超簡単に意志力を上げる科学的なテクニックとは?

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ダイエット中なのについお菓子を食べちゃったり、勉強しなくちゃいけないのに何故か掃除を始めてしまったりして「自分はなんて意志力がないんだ……」と自己嫌悪に陥ったことはありませんか?
心理学者が人生の成功に最も必要な素質の一つとして挙げるのが「誠実性」です。
これは「目の前の誘惑に打ち勝つ忍耐力・自制心」や「コツコツ物事を成し遂げる勤勉さ」など、自己コントロール能力の総称と呼べるもの。つまり、誰もが手に入れるべき資質なのです。

今回はそんな「誘惑に負けやすい人」が、人生の成功に最も大切な資質「自己コントロール能力」を手に入れ、本当に望む成果をゲットする方法を『ケリー・マクゴニガル』氏の著書『スタンフォードの自分を変える教室 』よりご紹介。

 もくじ

1.意志力を簡単に上げる方法

数々の実験から、心理学者が意志力を測る方法として編み出したのが「心拍変動」の観測です。
目の前に誘惑の対象があり、大きく心拍が上昇した興奮状態から、心拍が落ち着いた冷静状態への変動量を調べることによって、意志力を測る手法ですね。

そして乱れた心拍を安定させる最も確実で即効性があり、かつ研究結果も豊富な手段こそが「呼吸を整えること」です。本書では意志力を上げる手軽な方法として『4秒かけて息を吸い込み、6秒かけて息を吐く』ことを推奨しています。

2.モラルライセンシングの対策方法

モラルライセンシングとは「いいことをした後は、悪いことをしてもいいや」と思ってしまう心理現象のことです。たとえばダイエット中なのに「今日はランニング(いいこと)を頑張ったから、おやつ(悪いもの)を食べてもいいだろう」と自分に甘くなってしまう感じですね。
この心理の対策として本書が挙げてる方法は以下の3つだ。

「目標達成のため、どれだけ真剣に取り組んでるか?」と自分に問いかけること
「何をやったかではなく、何のためにやるか」を意識する
「この目標を達成するのは、自分が想像してるより難しい」と自覚すること

ポイントとしては、自分の頑張りが思ったほど大したものではないと意識させる点だろう。本気で取り組めているかと問われて、自分に百点を付けれる人がどれだけいる?
イエール大学の実験によれば「今回誘惑に負けても、次の機会に挽回すればいい」と考える人ほど、目の前の誘惑に飛びつく傾向にあった。目標は「頑張らないと達成できないぞ」と思えるくらいで丁度いい。

3.本当は欲しくなくても「欲しい!」と脳は錯覚する

目の前に誘惑が現れると、私たちの脳はドーパミンを分泌する。
ドーパミンには集中力や注意力を高める効果があると同時に、目の前の誘惑に私たちを飛びつかせようとする。これは目の前のチャンスを逃さないようにするための本能的なものだ。

ところが、そうして手に入れたものの「報酬を手に入れた!」という幸福感は得られないことをスタンフォード大学の神経科学者ブライアン・クヌットンが2001年に論文で発表した。
なんでも被験者の脳にスキャナーをつけ、報酬が目の前にある状態と、報酬を手に入れた時に脳が活性化する部分が違うことを発見したのだ。この結果、ドーパミンは「報酬への期待感を膨らませはするが、幸福感を覚えることはない」ということが証明された。

つまり私たちは目の前にケーキがあるとつい食べたくなってしまうが、実際に食べたところで大した満足感を得られない。むしろダイエット中なら罪悪感すら覚えるだろう。
このことを念頭に置き、常日頃から「これは本当に自分のやりたい事か?」と問いかけるクセを付けよう。

4.遠い未来を想像する

ニューヨーク大学の心理学者ハッシュフィールドは、未来の自分との心理的距離が近い人ほど誠実性が高いことを発見した。わかりやすく言えば、遠い未来の自分をしっかり想像できる人ほど、自己コントロール能力が高いということですね。

たとえば道端に百万円が落ちてるとしよう。
このとき「これで遊びまくれる!」と目先のことしか考えられずネコババする人と、ネコババしたことで警察に逮捕されるその後のストーリーを考えられる人では、後者のほうがより遠い未来を想像している。
つまり後者の人間のほうが自己コントロール能力は高いという訳だ。本書では登場しないが、実際に遠い未来をイメージするだけで目の前の誘惑から目を背ける確率が上がるという研究は存在する。

ちなみに、誠実性(自己コントロール能力)が高い人は、結婚パートナーとしてもビジネスパートナーとしても優良株であることが多くの研究でわかっている。長期的な関係になりそうな相手には「将来のことについてどれだけ考えているか?」を雑談ネタとして聞いてみるのも面白いかもしれない。

5.ミラーニューロンを活用する

人間には他人の感情や行動を理解するために「ミラーニューロン」と呼ばれる細胞がある。
怒鳴ってる人を見て「怒ってるんだなー」と理解したり、包丁で指を切った人を見て「痛そうだなー」と感じるのはこのミラーニューロンのおかげだ。

こうしたミラーニューロンの働きによって、私たちはしばしば無意識の内に「他人の考えや行動が自分の考え」だと錯覚してしまうことがある。たとえば健康オタクの友達に囲まれてたら、あなたも平均以上に健康に気を遣うようになる。このような現象を心理学者たちは「目標感染」と呼んでいる。

目標感染はいい方向にも悪い方向にも私たちを突き動かす。
なので、何か達成したい目標があるならば、それに向かって真剣に取り組む仲間を見つけ、その輪の中に自分も飛び込むことで、目標達成率を上げることができる。逆にアナタの目標と反対の行動を取る人たちとは距離をおこう。

終わりに

今までただガムシャラに「頑張って我慢しよう!」と思ってた人にとっては、想像もできなかった方法の数々だろう。
実際、私も本書を読んでかなり驚いたし勉強になった。
これからは科学に裏打ちされた手法で『ムリなくラクして目標達成!』をスローガンに頑張っていきたい笑

参考

スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)

スタンフォードの自分を変える教室 (だいわ文庫)