あなたは『カロリーの質』という言葉をご存じですか?
実は最近になって健康な食事の重要ポイントとして使われるようになってきた言葉なんです。
しかし、何とな~くわかりそうな言葉ですから、実際目にしても多くの方が正しく理解しようともせず、わかった気になって読み飛ばしてしまうことでしょう。
という訳で今回は年間5000本の論文を読むサイエンスライター鈴木祐さん著書『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』から、わかりそうでわからない「カロリーの質」について解説していきたいと思います。
カロリーの質とは?
冒頭でも述べたように、カロリーの質は『健康な食事』においてかなり重要なポイント。
それはイェール大学予防医療研究センターが発表した「最も健康に良い食事法は決められるか?」というタイトルのレビュー論文を見てもわかる通り。
研究チームはアンチエイジングと食事に関する先行研究から質の高いデータ167件を集め「低糖質ダイエット」「低脂肪ダイエット」「ベジタリアン」「バランス食」「グルテンフリー」と言った定番の健康食の効果をチェックしました。そして全てを精査した上で次のように結論づけています。
「いずれの食事方法もそれぞれ明確な違いを強調するが、科学的な証拠をベースに考えると、どの手法もベースは重なり合っている。本当に重要なのはカロリーの質だ。質の高い食事こそが唯一にして最高の食事法だと言える」
つまりこれと言った最強の食事法は存在しないが、いい食事法と呼ばれるものに共通している要素はあり、それこそがカロリーの質ということです。
では、カロリーの質とは具体的にどのような食事方法を意味するのでしょうか?
鈴木氏は著書の中で以下のように述べています。
満足度 どれだけ素早く満腹感を与えてくれるか
栄養価 総カロリーのうちどれだけ豊富にビタミンやミネラル、必須脂肪酸、必須アミノ酸が含まれているか
吸収率 摂取したカロリーがどれだけのスピードで体脂肪に変わるか
効率性 摂取カロリーのうちどれだけの量が体脂肪に変わるか
つまり一食あたりの満腹度と栄養価が高く、かつ、体脂肪になりにくい食品ほどカロリーの質が高い食事というわけですね。反対に、いくら食べてもお腹いっぱいにならず、栄養価も低くて脂肪に変換されやすい食事はカロリーの質が低い食事ということ。
まあカロリーが高いのにお腹いっぱいにならないものをたくさん食べてたら不健康な感じで太るだろうというのは、私たちの直観としても納得しやすいものですね。
カロリーの質が高い食べ物の選び方
カロリーの質が重要なのがわかったところで、実際どの食材がカロリーの質が高い食べ物なのでしょうか?
買う前にいちいち「この食材はカロリーの質が高くていい!」なんてチェックする訳にはいきません。覚えるにしても限度があります。
ですが安心してください。
実は大まかな判別方法が存在します。
カロリーの質が高い野菜選び方
カロリーの質が高い野菜の選び方は次の二つ。
1、生でも食べれるかどうか?
2、緑色が濃いかどうか?
もちろん例外もありますが、基本的にはこの二つの判別方法に沿って選べばOK!
これなら「キャベツよりホウレンソウの方がカロリーの質が高い食品」だと知らなくても「たぶんホウレンソウのほうが良さそう」とわかりますね。
カロリーの質が高いフルーツ選び方
カロリーの質が高いフルーツの選び方は次の二つ。
1、カロリーあたりの糖質量が少ない
2、自然の状態に近ければ近いほどいい
フルーツは少量でもわりと値段がするのが難点ですが、とても優秀な食品なので可能な限り摂取したいところ。
個人的にオススメなのは、入手が容易で比較的安い冷凍ブルーベリー。
カロリーの質が高いタンパク源の選び方
カロリーの質が高いタンパク源の選び方は次の二つ。
1、カロリーあたりのタンパク質及びビタミンやミネラルが多い
2、プロトックスを起こす量が少ない
プロトックスとは酸化したタンパク質のこと。
関節痛やアルツハイマーの発症原因になったり、糖やアミノ酸が酸化して出来るAGEsという物質(体内炎症を起こし、糖尿病のリスクアップや骨や血管にダメージを与えるアンチエイジングの天敵)になったりと、色々な不調を起こす原因になります。
そのためお肉や魚は新鮮なものを選ぶ、高温調理を避けることを心がけましょう。
牛乳をよく飲む人は普段飲んでるやつを100℃以上の短時間高温殺菌されたものではなく、低温で30分ほどじっくり殺菌されたものにしておくのがベターです。
カロリーの質が高い脂質の条件
最後にカロリーの質が高い脂質の条件は次の二つ。
1、カロリーあたりの抗酸化物質やポリフェノール豊富
2、ほぼ未加工で余分な添加物が入ってない
鈴木氏が言うに、重要なのは2つ目のほうらしい。
加工品はその過程において高温に晒されたり、化学処理のせいで酸化しやすいからです。
ちなみに『不老長寿メソッド』で紹介されている優良な脂質食材は以下の通り。
・高脂肪な魚介
(サバ、サーモン、イワシ、マグロ、ウナギ、シラス)
・放牧牛、たまご、アボカド、カカオ、ナッツ類
・料理油はオリーブオイルかココナッツオイルが推奨されています。
(熱を加えない前提なのであれば亜麻仁油やタラ肝油もOK)
質が高い食事への実践的な切り替え
それでは各指標がそろったところで、具体的にどう食事を切り替えるかも見ていきましょう。
いきなり食事をまるっと代えるのは難しいですからね。
野菜を増やす
野菜はカロリーの質が高いものが多い優良食材。
しかもサラダやホウレンソウのお浸しなど、これまでの食事をほとんど代えずにより質の高い食事へ押し上げてくれるので、実践のしやすさも◎
私の場合は冷凍の野菜ミックスを電子レンジで解凍し、簡単な温野菜にしてよく食べてます。
肉・魚を変える
とにかく新鮮なものを買うように意識しましょう。
理想を言えば築地で新鮮な魚を買うのがベストですが、それが無理ならスーパーで肉や魚を買うときは割引シールが貼られてる古い商品はできるだけ避けたいところです。
また、お肉に関しては脂分の少ないもののほうがベター。
サーロインよりヒレ肉、バラ肉よりモモ肉などサッパリしてるもののほうが酸化が起こりにくく優良食材になります。
それからハムやソーセージ・ナゲットなど加工されたものは鮮度が低く、優良食材とは言えません。同じように成型肉もアウトです。この辺は悪影響が強いので出来る限り減らしていきましょう。
お肉に関しては調理する時にも工夫できるポイントがありまして、それが高温調理を避けること。
湯銭するなど低温でじっくり火を通し、高温での調理時間を最小限にするとダメージが少ないです。
ちなみに低温調理をする際に必要な温度計でオススメなのがコチラ。
ミシュランの星獲得シェフが愛用している商品で、瞬時に温度を計れます。
amazonなどで購入でき、お値段も安いのは嬉しいポイント。
精製糖を減らす
最後の実践的な改善案は精製糖を減らすこと。
白米を玄米に変えたり、パンやパスタは全粒粉のものに切り替えるだけでお手軽にカロリーの質を上げることができます。
また普段からジュースや甘い紅茶などを飲んでる人はお茶やコーヒーに代えたり、飲む回数を減らすなどすることが重要です。どうしてもジュースが飲みたいときは、人工甘味料を使ったダイエット飲料にするとよいでしょう。
世間のイメージとは裏腹に、大規模なメタ分析では人工甘味料の人体への悪影響はこれといって確認されなかったようです。
実際こちらの検証動画をご覧いただければわかるように、疲労感や集中力の低下に繋がる血糖値スパイク(血糖値の急激な乱高下)は見られません。
手放しでオススメできる訳ではありませんが、必要以上に怖がる心配は現状なさそうです。
終わりに
というわけで今回はわかりそうでわからない『カロリーの質』についてでした。
お手軽にカロリーの質を判別できる方法を使い、あなたもカロリーの質を高めていきましょう!
今回参考にしたのはコチラ。
本書では他にも運動・メンタル・睡眠・美肌など、若々しさに繋がるトピックが多数紹介されてて非常に有用な一冊でした。
鈴木祐さんの著書はほかにも「ヤバい集中力」「超ストレス解消法」「科学的な適職」など、一つのテーマに特化した有益な本がたくさんありますので、自分にあったテーマがないか一度チェックしてみるのをオススメいたします。
それでは今回はこの辺で。
今後も有益な情報を発信していきますので参考になったという方は
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