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お金持ちになるには必須のスキルを「Google」のコンサルも務めたアダムグラントから学ぶ

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情けは人の為ならず——という言葉を知らない人はいますか?
人を助けていると、いつか自分も助けてもらえるという日本のことわざですね。一部では「その人のためにならないから助けちゃいけない」と誤解してる人もいるようですが、この機会に正しい意味を覚えていただければと思います。

さて、最近ではこの「情けは人の為ならず」という精神で、収益を挙げてる個人がたくさんいる事に気付いてるでしょうか。
TwitterやYouTube上で、とても有益な情報を無料で発信しているのに、なぜか莫大な利益を得ている人たちです。
その筆頭としてはメンタリストDaiGoさん、坂内学(マナブ)さんなどが挙げられますが、他にも美容系YouTuberや美味しい料理の作り方を配信してるYouTuberなどもココに含まれます。
ではなぜ、この人たちは成功を収めているのか? それは彼らがギバーだからです。

そんなわけで今回は、ギバーと呼ばれる人たちが成功を収める理由と、ギバーの知られざるメリットを、「Google」や「ゴールドマンサックス」という世界的超有名企業のコンサルを務め、世界でもっとも重要な思想家50人にも選ばれたアダムグラント氏の著書『GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 』を元に解説していきます。

もくじ

1.大きな成功を収める人たちの特徴は?

本書では人間を3つのタイプに分けて解説している。

・ギバー(人に何かを与える事が多い人)
・テイカー(人から何かをもらう事が多い人)
・マッチャー(もらった分だけお返しをする。ギバーとテイカーの中間みたいな人)

この中で、もっとも出世もしないし賃金も上がらないのはギバーだったが、同時に、もっとも出世するし生涯賃金も高い人もギバーだった。
そして現代ではTwitterやFacebookなどオンライン上の繋がりが強力となり、ネットで検索すれば容易にその人の評判を調べることが出来るようになったことで、その人の評判がそのまま人生の成功率(ここではその人の影響力と生涯賃金の高さを人生の成功と定義する)を左右とアダムグラント氏は指摘する。

2.なぜギバーが成功するのか?

実は短期的な視点で言えば、ギバーよりもテイカー(何かを貰うことが多い人)のほうが得をする。
ギバーは他人に何かを与える性質上、一時的に損をしている事が多かったり、すぐに利益を得にくいという特徴がある。対して、テイカーはそこにある利益を多く得ようとするので、一時的にはすぐさま利益を上げることができるのだ。
しかし、ここである一点に大きな違いが出てくる。信用度や好感度といったその人の評判だ。

ギバーは人に感謝されやすい
たとえば「これサービスね」と言って、食後にデザートをサービスにくれた店員やお店に対して、あなたはどう思うだろうか? おそらく嬉しい気分になって、そのお店や店員が好きになるだろう。そうして「またあのお店に行こうかな」となるはずだ。

対して、テイカーは人から嫌われる
たとえば「いつも来てんだからこれくらいオマケしてよ!」と無茶を押し通そうとする人を、あなたはどう思うだろうか? おそらく嫌な気分になって、その人に近づかなくなるはずだ。

こうした違いによって、ギバーには人が寄っていき、テイカーからは人が離れていく
そうなれば、ギバーにはいい話が舞い込む可能性が増えるし、仲間としても歓迎されやすいという訳だ。

他にもギバーの言葉は仲間から好意的に受け入れられやすいという特徴も持つ。
だから自分が好意的に思ってる人が「これオススメの商品なんだよね!」と言ってくれば、他の人から勧められた場合よりもその商品を買う確率が高くなる。インフルエンサーと呼ばれる人たちはまさにコレだ。

3.ゆるい繋がりから新しい情報やアイディアは産まれる

意外なことに、自分が窮地に陥ったときに助けてくれるのは親しい人ではなく、普段あまり関わることのない人たちという研究結果が出た。
これは、いつも一緒にいるメンバーとは価値観や持ってる情報・人脈に違いが無いからだ。そのため窮地に陥ったときに彼らから解決策を与えられることは少ない。
一方、普段あまり関わり合いのない知り合いは、自分とは違った価値観や情報・人脈を持っている可能性が高く、そこから自分の問題を解決してくれるアイディアが産まれやすいのだ。

ここで大切になってくるのが、普段はあまり関わり合いのない人と連絡を取れるかどうかだ。
基本的に、テイカーは自分の利益のために他人を食い物にしているので、過去に関わりのあった人たちと繋がりを復活させる(リコネクトと言う)のが難しい。
しかしギバーは違う。
過去に良くしてもらった人たちは、ギバーとの復縁を快く受け入れるのだ。これこそが積み上げて来た信頼によるものである。

4.ギバーの商品売り込み方法

著者のアダムグラント氏は、自身の足でノースカロライナ州へと赴き、メガネ販売のトップセールスマンと普通のセールスマンが、どのような方法でメガネの売り込みをしているのかを調査した。
その結果、テイカーやマッチャー(もらった分だけお返しをする人)などの普通のセールスマンは「商品の売り込み」をするのに対し、ギバーのトップセールスマンは「お客に質問をする」ことを発見した。

もちろん、普通のセールスマンも「どんなメガネをお探しですか?」と質問をするし、お客がメガネを試着した際には「とてもお似合いですよ」と褒めている。しかしどうしても『商品を売ろう』という下心が見え透いて、購入には繋がりにくかった。

だがギバーは「普段使いですか?」「いつもどのようなファッションをしてらっしゃるんですか?」「他にお悩みはございませんか?」など、色々な質問をぶつけてユーザー視点に立とうとする。その上で、お客にあった最適な商品を紹介するので下心がまったく見えないのだ!
事実、ギバーは自身のことを「メガネの販売員」と考えておらず、お客様にあったメガネを探し出す「アドバイザー」だと思って接客していた。

5.優秀だから尊敬される人、嫉まれる人の違い

さらに、その人がたとえ優秀な人だったとしても、ギバーかテイカーかで周りからの反応は大きく変わる。
極端な話、周りから仲間だと思ってもらえれば尊敬されるし、敵やライバルだと思われれば嫉まれてしまう。

ギバーは自分の成功を周りの人の手助け・援助があったおかげで、プロジェクトを成功させられたのは『みんなの協力があったからだ』と、感謝を示す。これは成果の分配だ。
対してテイカーは、自分の成功は自分が優秀だったからであり、これ見よがしに『俺は凄い人間だ』とアピールする。たとえ周りの人からの協力があったとしても、決して感謝は示さない。そうやって成果を独占するのだ。

しかも、これは栄誉だけの話ではない。
金銭的な報酬があったとしたら、ギバーは平等(あるいは自分が少なめ)に報酬を分配しようとする。対してテイカーは「俺のおかげなんだから、俺が多くもらえるのは当然だよな?」と、自分の報酬が多くなるように報酬額に差をつける。
わかりやすい例で言えば、『会社の社長が他の取締役や部長・課長級の人たちと近い給料ならば社長はギバー』で、『社長が他の取締役などより何倍も給料を取ってるならばテイカー』ってことだ。

6.成功するギバーと失敗するギバー

さて、最初に『もっとも成功しないのがギバーだが、同時に、もっとも成功するのもギバー』という話をしたのを覚えているだろうか?
両者の大きな違いは、自身の利益に対しても執着があるかどうかだ。本書では広告代理店であった事例を元にわかりやすく解説している。

不況の影響で、取引先から「広告料をを値下げしてくれないと、今年は御社の利用を控える」という電話があった時に、テイカー・失敗するギバー・成功するギバーが取る行動が違った。

テイカーの場合、如何に値下げをしないで相手を説得するかに焦点を置く。
失敗するギバーは、相手の状況を慮って言い分を受け入れる
そして成功するギバーは、広告料を下げるという条件は受け入れるが、代わりに交換条件を打ち出すのだ。この交換条件とは、相手に大きな負担を強いるものではなく、かつ自社にとってメリットのあるものである。実際に成功するギバーが行った交換条件は、指定したパンフレットを取引先会社に置いてもらうという簡単なものだった。

つまり失敗してしまうギバーとは「空気を読み過ぎてしまう人」と言い換えてもいいかもしれない。なぜなら空気を読み過ぎてしまう人と言うのは交渉が出来ないからだ。
しかし、これについては対策法がある。失敗するギバーから成功するギバーになるための方法だ。

その方法とは『自分以外の親しい人のために交渉する』ということだ。
ギバーは自分の利益のために交渉することを躊躇してしまう。そこで例えば「給料が上がらないと子供たちに我慢させてしまう」と考えれば、子供たちのために給料アップの打診を上司に切り出すことが出来る。
逆に、相手から無茶を要求されたとしても断ることも可能だ。
たとえば「今日仕事が終わらないから残業してくれないか?」と上司に言われたとしても、残業したら子供たちにご飯を作れず困らせてしまうと思えば、キッパリ断ることが出来るようになるのだ。

だから普段から、自分にとって重要なことや人の線引きをしておくことが大切になる。
実際に私も、大切な価値観や親しい人の線引きをしたことによって、無茶な頼み事を断れるようになったし、交渉も出来るようになったので、線引きして良かったなと思う。

終わりに

今回はかなり長くなってしまったが、とても重要な事ばかりなので許してほしい。
これでも本書から拾いきれなかったネタがまだまだあって、さすがに世界でめちゃくちゃ売れてるビジネス書なだけあるなと思いました。 

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

GIVE & TAKE 「与える人」こそ成功する時代 (単行本)

 

 今回参考にしたのは上記の本になりますので、気になる方はチェックしてみてください。
個人的に、ビジネス書を読むならまずコレからだと思う。
この記事を読んだだけでも、この本の情報密度が想像できますもんね!
もっとも、かなり気を配って書きましたが、要約した分だけどうしても密度が薄まってしまっているのは否めないので、できれば原典を読むことをオススメします。

【追記 2019年11月15日】
レビュー記事を書きましたので本書が気になってる方は下記記事をどうぞ。

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