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「努力できない」と悩む人は心理テクより〇〇を変えるべき

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ふと「努力するための方法を知ってるはずなのに、なんで自分はちゃんと努力できないんだ?」と、自分の不甲斐なさに落胆したことはありませんか?
Googleで「努力する方法」「集中力 上げる テクニック」などと検索すれば、すぐにでも実践できる心理テクニックが多数紹介されており、これらを使えば簡単に人生を好転させることができると理解してるにも関わらず、気が付けばいつの間にか怠惰な生活に戻っていた経験は?

当ブログでも三日坊主を克服する方法や集中力を上げるテクニックなどを紹介してきました。
しかし小手先のテクニックではなく根本的な解決策についてはあまり触れていません。
と言う訳で今回は「努力できる環境を作る方法」について解説していきたいと思います。

努力できる環境作り:意識編

意識はとても大切です。
なぜなら私たちの意識は思考の連続で形作られているからです。
そんな大切な部分なのに多くの人はそこを甘く見て、ほとんどの人が同じような失敗をします。
多くの人が失敗する点は以下の二つです。

1.「やるぞ!」と決意表明する

一つ目の陥りやすい罠が「やるぞ!」とか「頑張るぞい」といった決意です。
これに関しては「えっ、ダメなの!?」と驚いてる方も多いのではないでしょうか?
なにせついついやってしまいますからね笑

確かに一時的にモチベーションを上げるために有効ではあるんです。
ですがそれは目の前に取り掛かる作業があった場合に有効なのであって、継続的努力をしようとしてる場合はその限りではありません。たとえば

『今から勉強を始めるぞ!』と気合を入れるのはOKですが
『これから毎日一日30分家で勉強するぞ!』と決意するのはNGです。

ではなぜ前者はOKで後者はNGなのか?
その違いは「現在に焦点を当てたもの」か「未来に焦点を当てたもの」かによります。

前者の場合はやるべき事が目の前にあるために、脳の意識は目の前の障害へと移ります。
しかしながら後者の場合、いま現在できることが目の前にないために脳は未来の出来事へと意識を向けます。すると脳内では「すでに障害を乗り越えた先に待っている輝かしい未来」を想像して、まだ何も成し遂げていないにも関わらず既に『やり切った感』を感じてしまいます。

 

そう……これから頑張ろうという決意表明は誰もが手軽に摂取できる麻薬なのです。

これは決して私が大袈裟に言ってる比喩ではなく、脳科学・心理学者での共通した認識のようです。まあ程度の差はあれど脳内物質としては全く同じものが働いてる訳ですし、摂取→興奮→沈静化→再摂取までのプロセスもまったく一緒ですからね。
そしてこの決意するだけで満足してしまう現象のことを『偽りの希望症候群』と言います。
詳しい解説と対策については下記記事をご覧ください。

 

2.やれば出来ると思っている

とても陥りやすい罠その2が「俺だってやれば出来るはず」という思い込みです。
特に「俺は色々な本を読んで『三日坊主にならないためのテクニック』や『集中力を上げるテクニック』を知ってるぞ」と息巻いている人や、Googleで検索したあとの「なるほど、これなら俺でもできるぞ!」と自信を付けた人ほど陥ります。

たとえば作業療法士の菅原洋平さんは著書『すぐやる!「行動力」を高める“科学的な”方法』の中で、タイトルに『その「やればできる」はマボロシだった』という過激なタイトルまで付けて警告を促すほど。
このタイトルの話をわかりやすく言うと「自転車の乗り方を口頭で説明しても理解できるのは既に自転車を乗れる人だけ」と言った話で、要はいくらテクニックを知ったとしても普段使い(習慣化)してないと意味ないぞということ。

自転車のたとえで言うなら、習慣化されてない知識はアドバイスをもらってようやく数メートル自転車で進めるようになった状態と言った感じ。
この程度で大人が「俺は自転車乗れるぞ!」と言ってたら苦笑いしか浮かびませんよね?
なのに知識に関してはなぜか『知ってる=使いこなせる』と人間は思い込んでしまいます。

 

 

更に問題点はあります。
それは「やれば出来るはずだけどやらない」をすると罪悪感が産まれることです。
罪悪感に苛まれると自己効力感が下がり、あなたは更に「やれば出来るはずなのにやらない」人間となり、また罪悪感に苛まれるという負のスパイラルに陥ります。
仮に知識がなければ「自分には出来ないことなんだから仕方ない」と諦めがつき、罪悪感に苛まれることはありません。
自分の人生を好転させてくれるはずの知識が自分の足枷になるのです。

では、この負のループから上手く抜け出す方法はないのでしょうか?
いいえ、方法はあります。

世界No1の心理学ブロガーのジェレミーディーンさんは著書『良い習慣、悪い習慣―世界No.1の心理学ブロガーが明かすあなたの行動を変えるための方法』で、禁煙に成功した人たちの大きな勝因を「被験者たちが禁煙に成功するのは困難なことだと受け止めていたこと」だと述べています。
つまり最初から俺はやれば出来るはずだと楽観視せず、むしろ努力が必要な難しいことだと認識を改めることが重要なのです。

ところで……お恥ずかしい話ですが、私は食後にお皿を洗うのがどうも苦手です。
食器を洗うのなんて子供でもできる簡単な事ですよね?
しかし私にとってはわざわざ心理テクを使うか、結構な意志力を使わないと出来ません。私は食後のお皿洗いですら困難な事だと認識しています笑

努力できる環境作り:実践編

それでは意識改革が出来たところで努力できる環境作りの実践編に移ります。
人間の行動の大部分はアナタを取り巻く環境によって構成されています。

たとえばファストフード店がたくさん家の近くにあると自炊する人の割合は減りますし
健康志向の友人と多くつるんでいるとアナタ自身も健康志向になりやすくなります。
こうした人間特性を上手に使いこなせば、アナタも努力できる成功確率はグッと上がるはず。
というわけで、実践編では重要な2つのポイントを紹介します。

1.逃げ道を無くす

単純明快で誰にでもわかりやすい方法が逃げ道を無くすことです。
たとえどんな人間でも、突然見知らぬ森に放り出されサバイバル生活を余儀なくされたら生きるために必死に行動を起こします。
そうした追い込まれた状況に居続ける限り、努力が止まることはありません。
その証明をするのに、一つ適当な動画があります。

人気ビジネスyoutuberのマコなり社長は、この動画の中で自身の市場価値を押し上げた要因の99%がやらざるを得ない環境に身を置いたことだと述べています。
同様にやらざるを得ない環境にいると知恵を回し必死に行動するということを、株式会社WADOの代表取締役の林正孝さんは著書『世界トップクラス営業マンのモチベーションに左右されずに結果を出す仕事術』の中で述べています。一流のビジネスマンたちがこぞって挙げているポイントだけに非常に重要と言えるでしょう。

ではもう少し踏み込んで、逃げ道を無くす状況とは何かについて考えてみます。
わかりやすく逃げ道のない状況とは自身に決定権のない状況です。

学校や会社などに所属していると上位者から命令やルールを押し付けられます。
これら命令やルールに対して貴方がアレコレと勝手に変更することはできず、仮に命令やルールに違反すると、貴方にとって不利益な何かが降りかかることになります。
そのため自身に決定権がない状況というのは「逃げ道の無い状況」と言えるでしょう。

上司から仕事をもらう。
ジムでトレーナーにマンツーマンで指導してもらう。
家を追い出されないように家賃を払う。

これらの例からわかるように、自身より上位者がいる状況というのは非常に努力を継続しやすい環境なのがわかりますね。
そのため目的が合致するならば転職というのも手段の一つとして大いにありです。

 

 

では「痩せたい」とか「禁煙したい」などの上位者がいない分野で努力をしたい場合はどうすればいいのでしょう?
実際、多くの人が努力したいなーって思い悩む分野はコチラですよね。
結論から言えば「やらなければ不利益を被る状況」であれば何でもいいのです。

私が話を聞いて面白いなーと思った方法を一つ挙げると、目標を達成できなかったら自分が嫌いな活動を支援する団体に寄付をするというのがありました(その方は同性愛が嫌いだったので目標達成できなかったらゲイを布教する団体に寄付するつもりだったとか)

もう少し手軽な例で言えば誰かに「俺は○○をやります!」と宣言することです。
これは『パブリックコミットメント』という心理テクニックで、他人との約束を破りたくないという心理欲求を逆手に取った方法になります。多くの人間は他人から『誠実』で『清廉潔白』な人間だと思われたい自己欲求を持っているからです。

ただしパブリックコミットメントは正しいやり方でやらないと効果が無かったり逆効果になったりしてしまいます。
それは前述した『偽りの希望症候群』などの心理要因が原因だと考えられています。
パブリックコミットメントについても過去に解説した記事がありますので、正しいやり方の解説についてはソチラをどうぞ。

2.期限を決める

努力できる環境作り2つ目のポイントはしっかりと期限を決める事です。
蔑ろにしがちなポイントですが、実はこれもかなり大事。
期限を決めることには3つのメリットがあります。

第一のメリットは時間対効用のコストパフォーマンスです。
人間は時間を決めないと無制限に作業時間を延ばしてしまいます。
同じ10点を挙げるにも「70点→80点」にするより「90点→100点」にするほうが何十倍も難しく時間がかかります。納得いくまでリテイクするというのは非効率の極みです。
しかも次回も同様のレベルまで上げないと納得できなくなるのでハードルが上がります。
また期日を決める事で時間内に終わらせる創意工夫をするようになり作業効率が上がります。

第二のメリットは先延ばしの回避にあります。
人間は期日を決めないと将来やりたい事を後回しにする癖が備わっています。
そのため「いついつまでにやる!」と決めないとなかなか行動に移しません。
冷静に考えてやりたい事を先延ばしにしてるってホント意味わからないですよね笑

第三のメリットは終わりが見えてる安心感です。
努力と言う言葉が使われてる場合、100%そこには苦労があります。
そして当然ですが苦労は長続きしません。休みがないとどこかで心が折れてしまいます。
そうならないためにも「ここまで頑張れば一旦OK」というポイントは重要です。
メンタリストDaiGoさんも著書『倒れない計画術:まずは挫折・失敗・サボりを計画せよ!』の中で、頑張らなくていいチートデイを推奨しています。

 

これら3つのメリットを鑑みれば期限を決めない理由はありません。
また、期限が遠く離れていると効果は薄くなりますので締め切りはある程度の間隔で区切ると良いでしょう。期日を忘れないよう定期的に振り返るのも重要です。

 

終わりに

という訳で『努力できる環境作り』についてでした。
ついつい目の前の心理テクニックに飛びつきたくなりますが、それよりもまず環境作りのほうが圧倒的に重要です。それなのに蔑ろにしてる人が本当に多いと思います。

心理学ブロガーの私が言うのもアレですが、心理テクニックを使ったとしても魔法のように一発で自分を変えることは残念ながらできません。
もちろんだからといって心理テクが全くの無意味と言いたい訳ではなく、心理テクはあくまで確率を上げてくれたり効率を高めてくれる道具ということです。その辺をぜひ理解していただければなと思います。その上で更なる飛躍を目指したいって方たちはこの辺の記事をどうぞ。

それから本記事内で参考にした書籍はコチラ。
どれもいい本なので興味のある方は読んでみてください。

それでは今回はこの辺で。
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