ビジネス書や自己啓発書を読んでると「すぐ行動しよう!」という言葉をしょっちゅう見かけませんか?
それを見るたび「わかってるけど、できねぇよ!」と悪態をつきたくなりますよね。
言われただけで変われるなら、とっくに変わっているはずです。その方法まで教えてくれよってなりますよね。
と言う訳で今回は、そんな「すぐ行動できない」という人に向けた対策を作業療法士の菅原洋平さん著書『すぐやる!「行動力」を高める“科学的な”方法』からご紹介。
もくじ
1.フィードフォワードを活用する
私たちの脳は、具体的に何をやればいいのかわからないと行動できません。
そのため次に何をすればいいのか考えずに動ける環境を作ってあげる事が非常に重要です。
そうすればすぐに行動できるようになるといいます。
ここで登場するのがフィードフォワードです。
フィードフォワードとは「これから何をするのか考え、身体を動かす指示を出す」という脳の仕組みをいいます。
つまり脳が仕事を振る上司で、身体が現場を回る部下という関係です。
そしてこの機能を上手く使う方法が「少しだけ手を付けてから終わりにする」ことです。
フィードフォワードの例
たとえばブログを書く際には『テーマ決め→資料集め→執筆』というプロセスを踏みます。
ここで「テーマを決めた」段階で休憩に入ってしまうと、次に再開する時に
「あれ? これから何しなくちゃいけないんだろ?」
と脳は悩んでしまいます。
これはつまり上司が仕事の振り分けが上手くできておらず、部下がほっぽり出されてる状態です。
そうなると部下は仕事をサボってしまいます。これが「すぐに行動できない」原因です。
ではどうすればいいかと言えば、先に述べたように少しだけ手を付けておくのです。
ブログの例で言うと「テーマを決めたあと少しだけ資料を集めて」から休憩に入ることで、再開した時に「資料集めの続きをしなくちゃ!」と具体的な行動を脳は予想立てることができます。
このように脳が悩む瞬間を無くすことで、行動力は上がります。
ここからは私の考えですが、もし次のステップにすぐ移れない状況ならば「次はどこで・何を目的に・どう行動する」かを決めてから休憩に入ると、手を付けられなくても次の作業にスムーズに移れるかと思います。
2.モダリティ間促通法とメンタルローテーションを活用する
人間にはミラーニューロンという『相手の気分や行動を真似する』神経が備わっています。
たとえば知り合いが笑っていると自分も釣られて笑ってしまったり、相手が悲しそうな顔で話して来たら悲しそうだったり神妙だったりした態度を取りますよね?
この性質を利用し、相手にやってもらいたい行動のお手本を自分が実演することで、徐々に行動できるようにさせる手法を「モダリティ間促通法」といいます。
モダリティ間促通法の例
たとえば右手を上手く動かせない患者さんに「右手でリンゴを握ってください」と言っても上手くいきません。そこでアナタが実際に右手でリンゴを握るのを見せることで、不思議と患者さんも少しづつ手を動かせるようになります。
このような訓練を続けて、自由に右手を動かせるようにリハビリするのがモダリティ間促通法です。
この時のポイントとして、患者と同じ方向を向いて実演すると効果が高まります。
それはメンタルローテーションが原因です。
メンタルローテーションの例
こんな経験ないでしょうか?
「右手を挙げて」と言われたのに、対面にいる人が自分から見て左側の手を挙げたのに釣られて、左手を挙げちゃった事が。
これは脳内で反転させるという行為が意外と難しいものだからです。
この脳内で行動を反転させることを「メンタルローテーション」と言います。
実践
さて、前置きが長くなりましたが「モダリティ間促通法」と「メンタルローテーション」を上手に使って行動力を高める方法について解説します。
それは「自分の理想に近い人」を見つけ、「同じ方向を向きながら作業する」ことです。
たとえばアナタがテキパキ仕事ができるようになりたいと思ったら、テキパキと仕事をする同僚を探してその隣で作業するという感じです。
本書では出てきませんでしたが、この効果はハーバード大学が約2000人のオフィスワーカーを二年間観察した調査によって証明されています。
オフィスのように簡単に同じ方向で作業するのが難しい場合は「同じ方向を向いて作業する」というのは無視しても構いません。しかしお手本はしっかり見つけておいてください。
行動力のない人はとにかく行動力の高い人に囲まれるようにしましょう。
3.やれば出来るという思い込みを捨てる
お次はマインドの話です。
あなたは自分のことを「やれば出来る人間」だと思っていませんか?
それが事実かどうかは置いといて、その考え自体は非常に危険です。
実際に行動してない段階から「俺はやれば出来る」と口にしていると、どんどん先延ばししやすくなります。
これは理想と現実の剥離から起こります。
脳内で何が起こっているのか?
脳は行動したことから学習し、同じパターンがやってきた時には同じパターンを繰り返します。
それが積もり積もって出来上がるのが「習慣」であり「習性」です。
これについては過去に詳しく解説した記事がありますのでソチラをご覧ください。
さて、行動してない段階で「やれば出来る」といつも思ってるとどうなるのでしょうか?
それは特定の状況になっても脳は具体的に何をするのかわからないので正しい行動ができなくなります。
たとえば「やるぞ!」と思ってすぐに服をたたんでいれば、次に「やるぞ!」と同じような状況になったときにも「服をたたむのだな」と脳は判断します。
ところが「やるぞ!」と思ってもなかなか行動せずダラダラしていると、次に「やるぞ!」と気合を入れても「ダラダラするのだな」と脳は判断してしまいます。
このように脳は意外とポンコツで、いつもマニュアル通りの仕事で楽をしようとします。
そのため「俺だってやれば出来るんだけど・・・」と後回しにしていると、次の機会にはもっと辛い思いをすることになります。
罪悪感が行動力減退に繋がる
さらに、やらなくちゃいけないとわかっているのにダラダラしていると、今度は罪悪感を覚えていきます。
そして罪悪感は自己効力感と呼ばれる「俺はやればできる!」という感覚をドンドン奪っていき、結果として「俺は何もできないから何もしない」という何に対しても無気力な状態を作り出してしまうのです。
自己効力感については過去に詳しく書いた記事があるのでソチラを参考にしてください。
このように「まだ本気を出してないだけ」という状態を続けるのは大変危険です。
芽は小さい内に摘んでおきましょう。
そうしなければ「より大きな力」が必要となります。
また、もしアナタが子供を持つ親ならば早い段階で子供の後回しクセを刈り取ってあげてください。
遅いなんてことはありません。今日が人生で一番若い日です。
4.起点を変える
朝起きるのが苦手な人が、寝坊せずすっきり起きるにはどうすればいいか?
そういった対策も本書では書かれています。
すぐにパッと起きれないのはなぜか?
そもそも普段から十分な睡眠時間が取れていれば寝坊などしません。
なので最強の起床対策は十分な睡眠時間を確保することです。そうはいっても
「早く寝ればいいってことだろ?それが出来ないから困ってんだよ!」
という方もいらっしゃると思います。
頭の中でわかっていることが実際にできれば苦労する人なんていません。
では、頭でわかっていても出来ないことを出来るようにするにはどうすればいいのか?
そこで登場するのが『起点を変える』ことです。
最初から意志の力に頼るのではなく、流れを変えることで無理なく眠れるようにするのです。
寝る前の行動を観察する
私たちは家に帰ってきてから寝るまでに多くの行動をしています。
ご飯を食べたり、テレビを見たり、お風呂に入ったりしますよね。
この時、寝る時間を決定づけている他の要因が必ずあります。
それは人によって「お風呂の時間」だったり「ご飯の時間」だったりバラバラですが、行動の軸あるいは起点になっているものを早めることで、他に付随する全ての行動が早くなります。
たとえばこんな方がいたとしましょう。
1.家に帰ってくる
2.テレビやスマホを見て時間を潰す
3.夜ご飯
4.お風呂
5.明日の準備などをしてから就寝
この場合、寝る時間を決定づける要因は夜ご飯の時間になります。
夜ご飯を食べる時間が早くなれば就寝時間を早めることができます。
では次のケースはどうでしょう?
1.家に帰ってくる
2.お風呂
3.夜ご飯
4.テレビを見る
5.就寝
この場合、寝る時間を決定づける要因は「テレビ」です。
見たい番組が見終わるタイミングが就寝時間を決めることになります。
なのでこのケースの場合は「見たい番組は録画する」とか「この時間以降の番組はチェックしない」と言ったテレビ対策が有効とわかる訳です。
終わりが決まってないものは最悪
さて、私たちの行動は何かの行動が終わった時が次の行動の始まりとなる訳ですが、行動には「終わりが決まってるもの」と「終わりが決まってないもの」の2種類が存在します。
終わりが決まっているものの代表例が「食事」です。
目の前の食べ物を全て平らげたら終わりですよね。
反対に、終わりが決まってないものの代表例が「スマホ」です。
これをやったらゴールというものがなく、際限なく続けることができますよね。
こうした終わりの決まってないものが行動の最後になっていると最悪です。
スマホで時間つぶしするのを否定はしませんが、それならスマホに触ってもいい時間くらいは考えたほうがいいでしょう。
やる時間が決まってる習慣(夜ご飯とか決まった時間に見てる番組)以降はやらないと言った風に。
流れを見れば原因はわかる
もちろん、この流れを見る方法は色々な場面で活用できます。
その中には「この行動なくせない?」とか「これを先にすればモチベーション上がってすぐに行動できるんじゃない?」といった場面もあるはずです。
そう思ったときは、とりあえずいつもとは違った方法を試してください。
よくなったなら続ければいいし、ダメだったら戻せばいいのですから。
こういった「流れを見る」には客観的な第三者視点を持つことが重要です。
心理学ではこれを「メタ認知」と呼びます。
メタ認知は行動を変えるために非常に効果的かつ重要な要素なので覚えておくと良いでしょう。
終わりに
というわけで、無理なく行動できるようになるための方法でした。
最近では意志力に関する研究も見直され、意志力ではなく環境のほうが大事なんじゃないかという意見が主流ですので「自分は意志力が弱いから……」とへこむ必要はありません。
まずは環境を整えてあげましょう!
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それでは今回はこの辺で。
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