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食事をカスタマイズする ~ながら食いから脱却しマインドフルイーティングへ~

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人間の三大欲求の一つ『食』について、大きな変化が起こっている。
長らくの間、人類にとって食べる事は娯楽の一つであったが、近年はそうでもない。
あなたの周りにも……ひょっとしたらアナタ自身も、テレビやパソコン・スマートフォンを見ながら食事してはいないだろうか?

今回はそんな「ながら食い」を続けるとどうなるか?
辞めた場合にどんなメリットがあるかを解説していきます。

 

なぜ「ながら食い」が横行するようになったのか?

そもそもなぜ「ながら食い」をする人が増えたのでしょう?
理由はたくさん考えられますが、代表的な理由は以下の3つでしょう。

1.時間の節約になる

もっともメジャーな理由がコチラではないでしょうか。
現代でもっとも手軽に時間を潰せる手段はパソコンおよびスマートフォンです。
これらはユーザーに無数の「やりたいこと」を提供します。

YouTubeを見たり、Twitterを見たり、アプリゲームをやったり、とにかく依存性の高いものが多いです。
注意してる私ですら、気が付いたら何となくスマホのロックを解除しててハッとすることがあります。何かやりたい事をスマホで探そうとしてるんですよね。

そしてスマホやパソコンは食事をしながらでも操作できてしまいます。
だからこそパソコンやスマホを触る時間を捻出しようとしたときに食事時間に行き当たるのです。

2.情報と娯楽が増えた

現代にはスマホ以外にも色々な娯楽が溢れています。
それこそ江戸時代以前なんかとは比べ物にならないくらい。
それから人々は圧倒的な自由の権利も手に入れました。

生まれ育った土地で、限られた人脈内で、限られた情報の中で生きる生活は既に過去のもの。
色々な情報に触れられ、色々な価値観に触れられ、行ってみたい場所に自由に行ける。
現代に生きる私たちにとっては当たり前のことだけど、私たちの当たり前が「当たり前」になったのは歴史的に見れば最近のことなのですよね。

そして色々なものに触れる機会が増えたからこそ、一つ一つの価値というのは相対的に低くなってしまいました。
週6日働いてる人と、週1日しか働いてない人では休日に対するありがたみが違いますよね?
それと同じように、私たちは娯楽に触れられるありがたみをドンドン低下させてきたのです。

3.食料の安定的供給とファストフード

最後に挙げるのが食料問題です。
昔と違って現在は食べるものに困ることはありません。
せいぜい収穫量減で値段が例年より高騰するくらいで、飢饉に喘いで一揆を起こったりはしませんよね。

それからファストフード店の存在も見逃せません。
早く・安くをモットーとするファストフード店の台頭は、それまで「娯楽」の地位にあった食事が「義務」へと成り下がったことの象徴と言えます。
食べることをただ「栄養補給するため」と割り切るようになりました。

死ぬ前に後悔する事の上位に『料理』がランクイン

そんな背景があるために「ながら食い」はかつてない勢いで増えています。
とはいえ、そんなに「ながら食い」は悪いことなのでしょうか?
確かに食事マナーという点では褒められたことではありません。
しかし誰かに直接迷惑をかける訳でもないため「個人の自由じゃん」と言われればそれまでです。

ではそれ以外に「ながら食い」を辞める理由はあるのでしょうか?
これは私個人の見解になりますが「死ぬ前に後悔しないためにながら喰いを辞める」のは大きな理由になると考えています。

味覚を失ってから食べ物に執着するようになる

後悔先に立たずというコトワザがあるように、人間は失ってから価値に気付くことが多くあります。
それを回避するためには、すでに後悔してる人から話を聞くことです。

多くの最期を見届けて来た看護師たちは、死ぬ間際の患者たちから多くの後悔を聞くそうです。
その中には「歯をもっと大切にすればよかった」というのも結構多いと言う。
食べ物の味がわからなくなったり、そもそも食べ物が食べられなくなって点滴生活を送る人たちもいます。そういった方たちが口をそろえて言うのが上記の後悔です。

そして私が考える「ながら食い」を続ける最大の問題点は、この後悔を踏襲する可能性が非常に高いだろう事です。
というのも「ながら食い」は味覚の鋭さをかなり落とします。
まともに味を楽しむことができませんし、何よりどんな味だったかをほとんど覚えられません
これでは三ツ星レストランで食事をしたところで意味もないでしょう。

健康にも悪影響を与える

さらに上位の後悔として多いのは「健康に気を使わなかった」ことです。
この中には当然「不健康な食生活を続けた」ことも含まれます。
そして「ながら食い」はこの健康にも悪影響を与えます。たとえば

・ブラウン大学が行った研究では注意力が散漫な人(ながら食いをしやすい人)はそうでない人と比べて太ってる傾向にあった。
・オハイオ州立大学の研究では栄養学だけを学んだ学生より、栄養学+注意力散漫を治すトレーニングを積んだ人のほうが健康的な食生活を送るようになった。

などの研究結果があります。
もう少し広義の目で見れば、マルチタスク(ながら作業)をしないよう訓練した人たちは、食べすぎを抑制して体重が減りリバウンド率も低いというハーバード大学のメタ分析などもある。
これら研究結果からわかることは、健康のためには科学的な観点から見て「ながら食い」は悪であるということです。

 

さあマインドフル・イーティングをしよう!

逆を言えば「ながら食い」を辞めればそれだけのメリットを享受できるという事。
ここで登場するのがマインドフル・イーティング。
昨今話題のマインドフルネス状態で食事をすることを指します。
わかりやすく噛み砕いて言えば「食べることだけに集中する」といった感じ。

マインドフル・イーティングのやり方

いちおう正式なやり方を知りたければ精神科医の藤井英雄さん著書『1日10秒マインドフルネス』を参考にしてもらうとして
今回は私が他の著書からも参考に、実際に行っている方法を紹介させていただきます。

1.食べる前に『見た目』と『香り』を楽しむ。
2.口の中に入れたら『触感』を楽しみつつ、『味の分析』をする。
3.飲み込んだら一番近い味の料理を思い出す。
4.二口目からは一番近いと思った料理との差異も探してみる。

このように出来るだけ味や触感・香りなどに意識を向け、今まで食べた料理と比べてます。
たとえばラーメンなら「スープは魚介系?家系?鶏ガラ?」だけで終わらず、他の同系ラーメンと比べて「こってり?さっぱり?臭みはある?」などもしっかり比較。同様に麺やチャーシュー・煮卵なども評価します。

自分で料理すると更に相乗効果が!

少しめんどくさく感じるかもしれませんが、日ごろからマインドフル・イーティングを行っていると味の違いに敏感になってきます。
そのため、自分で料理をするときに味付けをアレンジするのがとても上手になります。
味見をした時に「何が足りないか?」がわかるようになるし、「これ入れたらもっと美味しくなるかも!」という発想も柔軟になります。料理の醍醐味ですね。

これが普段からマインドフル・イーティングしてない人だと、より美味しくするポイントがわからないため何時まで経っても同じレシピを同じように作ろうとするだけ。
これでは料理を作るのがただの作業になり楽しくありません。
節約のために自炊しようと思っても続かない人が陥りがちですね。

料理の味を忘れにくくなり、人にも説明できる

ところで、誰かと美味しいお店の話になったとき「あのお店めっちゃ美味しいよ!」としか言えない人ってアナタの周りにもいらっしゃいませんか?
聞いてる方としては「どう美味しいの?」ということを説明してもらわないと、なかなか興味を持つことはできません。これは料理だけに限らず全ての分野において共通で「それの何が魅力的なのか?」を聞き手側に伝えなければ、興味を持たれることはありません

マインドフル・イーティングを行っていれば、アナタがそのような無様を晒すことも無くなります。
なぜなら誰かに説明できるように普段の食事からアナタは訓練しているからです。

また、記憶の観点からも人に説明できるという事は良いことです。
世界記憶力選手権でグランドマスターになった池田義博さんは著書『世界記憶力グランドマスターが教える 脳にまかせる勉強法』において、頭の中でイメージできるんだけど言語化出来ないものは完全に覚えたとは言えないという旨の発言をしています。

実際、記憶と言うのは多くの関連事項があったほうが記憶を思い出しやすくなります。
そういった理由から、イメージを言語化するというのは記憶の引き出しを増やすことになり、味覚や触覚などの言語外の記憶も引っ張り出しやすくするのです。

【Tips】SNSにアップするため写真を撮るのはヤバい

少し前からSNSにアップするために写真を撮るのは珍しいことではなくなりました。
しかしこの食べ物の写真を撮る行為、記憶の観点から言えばちょっと嫌な話があります。

これはカリフォルニア大学の研究によるもので、人間の脳は写真を撮ると自分の頭に記憶するのをサボろうとする性質があるとのこと。
つまりSNSにアップするために食べ物の写真を撮ったら、肝心の食べ物の味をより覚えてないかもしれないってことですね。これを本末転倒と思わなくなってきたら、いよいよFaceBook疲れまで秒読みかもしれない。危険な兆候だ。

まあカリフォルニア大学の研究チームも「写真を撮るな」と言ってる訳ではなく、あくまで写真を撮った後は脳がサボりやすいからマインドフルな状態を意識しようと述べているだけだ。
つまり写真を撮った後こそマインドフル・イーティングをより実践すべきと言える。

 

終わりに

と言う訳でマインドフル・イーティングの薦めでした。
最初は死ぬ前に後悔することで「料理」と言われてもピンと来てなかったのですが(以前は食にあまり興味なかったので)、マインドフル・イーティングを始めた二年前よりちょこちょこ料理の楽しみに目覚めたのは自分でも意外でした。
こんな私が以前はカロリーメイトがMy frind&Soul foodだったとは誰も思うまい……笑

今回参考にしたのはコチラ。

 

二年間の実体験を通じてマインドフル・イーティングは良いものという認識があるので多くの人に広まってほしいところだけど、世間的にはどんどん「ながら食い」が増えていってて悲しい限り。
趣味で料理の勉強するにはYouTubeがとても便利で、いい環境が整ってるんだけどなぁ……。

アナタにオススメ
意志力・忍耐力が上がる! 日常で出来るマインドフルネス入門

それでは今回はこの辺で。
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一部参考
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