少し前に黒字リストラという言葉が流行りました。
終身雇用制が崩壊し、能力のない会社員の早期退社を促すこの取り組みは、多くの人に恐怖をもたらしたことでしょう。
そのため「副業を始めよう!」とか「会社に頼らない生き方」という言葉をよく見かけるようになりました。
けれど実際に「副業って何やればいいの?」とか「会社に頼らない生き方って?」と言った「どう行動すればいいのかわからない!」と困ってる人も多いのでは?
というわけで今回は落合陽一さんの著書『働き方5.0 これからの世界を作る仲間たちへ』より
これからの時代に『求められる人材の条件』と『一段上の思考』それから『副業の探し方と具体例』について解説していきます。
これからはスペシャリストの時代
今までは大企業に入りホワイトカラーとなることが正解とされてきました。
そのため親は子供に「いい大学に行って、いい企業に入りなさい」と教育します。
ところが終身雇用が崩壊した現在において、一生安泰と呼べる就職先はなくなりました。
ホワイトカラーには独自性と専門性がありません。
IT技術の発展で、物量で押せる仕事はどんどん機械に任せることができるようになったので、独自性や専門性のない人たちはどんどん淘汰されていきます。
なので、これからの時代は一人ひとり何かしらの専門性を持たないと生き残れなくなってきます。
専門性を持たないとどうなるか?
では、何かしらのプロフェッショナルとならなかったらどうなるのでしょう?
そうなった時に訪れるのは「機械の下請け」だと落合氏は語ります。
私が「機械の下請け」と聞いてピンと思い浮かんだのがこの動画。
専用機器を片手に人間が機械の指示に従って働いています。
これは露骨な例ですが、他にもUber Eatsや100円回転寿しなど、すでに身近な仕事でもそうなっています。
今はまだアルバイトの範疇でしかありませんが、ITの発達でどんどんデスクワーカーの仕事が効率化されれば、いずれデスクワーカーも椅子の奪い合いになるはずです。
というか早期退職や黒字リストラが横行した時点でお察しですね。
ネットで知れる情報しか持ち合わせてない人間に価値はない
少し前までは「美味しいお店を知ってる人」には価値がありました。
ところがインターネットの発達に伴い「食べログ」のような美味しいお店を誰でも簡単に探せるサービスが登場したことで「美味しいお店を知ってる人」の価値は暴落しました。
単純に情報を持ってる『だけ』ではダメになったんですね。
では、どうすればいいのか?
落合氏は『クリエイティブ・クラス』を目指すことを推奨しています。
クリエイティブ・クラスとは?
クリエイティブクラスとは社会学者リチャード・フロリダが提唱したもので、落合氏はこれを「創造的専門性を持った知的労働者」のことだと言っています。
が、正直これだけだとちょっとわかりにくいと思うので私なりにかみ砕いて説明します。
まず「専門性を持った知的労働者」と言えば、学校の先生やプログラマーなどでしょう。
彼らは普通の人にはできないプログラミングという技術や、人に教えられるだけの得意科目を持っています。だから「専門性を持った知的労働者」です。
ではここに「創造的」と付くとどうなるのでしょう?
個人的には『開拓者』と置き換えて考えるのがシックリ来るかなと思います。
たとえば「教科書を作る人」は開拓者です。
何かお手本にするものもなく、自分たちで研究・探求した結果を教科書として書き記します。
そして開拓者(クリエイティブクラス)の最もわかりやすい例と言えばスティーブ・ジョブズ。
iPhoneはそれまでの携帯電話の在り方とは一線を画すものでした。
当然のことながら見本になるものなどなく、手探りでデザインやUIを完成させています。
創造的専門性を持った知的労働者=クリエイティブクラスのイメージは出来ましたでしょうか?
「勉強」と「研究」の違い
ジョブズの例からもわかるように、クリエイティブクラスにはロールモデルが存在しません。
そして勉強はググれば答えが見つかりますが、正解が見つかっていない問題については自分で答えを見つけるしかありません。ここが「研究」と「勉強」の、ひいては『創造的』専門性を持った知的労働者か否かの大きな違いです。
これについて、私は一流と二流の差を研究しているアンダースエリクソンの話に通じるものがあるなと思いました。
アンダースエリクソンの著書『超一流になるのは才能か努力か?』のなかで、同じノウハウを使っても伸びる人と伸び悩む人の差に触れている箇所があります。
それによると伸びる人は同じ情報・同じノウハウでも、自分の使いやすいように知識をアレンジしていました。これも試行錯誤しての開拓です。
つまり面白いことに、一流のアスリートやアーティストとクリエイティブクラスは発揮する技能方面こそ違いますが、必要なスキルは同じなんですよね。
すると必然的にクリエイティブクラスになる方法も同じノウハウが使えるということ。
そのノウハウについては過去に解説した記事があるのでそちらをご覧ください。
副業探しにも使える5つの問いかけ+α
ところで、そもそも自分が目指すべきクリエイティブクラスはどうやって探せばいいのでしょう?
落合氏は自分に合った創造的専門性を探すなら次の5つの問いかけが重要だと語ります。
1、それによって誰が幸せになるか?
2、なぜ今になってその問題なのか? 先人が達成できなかった理由は何か?
3、過去の何を受け継いでそのアイディアに到達したのか?
4、どこに行けばそれが実現できるのか?
5、その専門性は他の人が簡単に真似できないものか?
1はターゲットとなる顧客の選定に。
2は今なら成功できそうな理由。これは今だとインターネットのおかげで技術的に可能になったものならほぼほぼ当てはまる。
3は思いついたアイディアをうまく扱うためのお手本として。
4は就職先の企業を探すため。アイディアを実現するのに適切な就職先がない場合は起業も視野。
5は言わずもがな価値があるかどうかの判定に。
といった感じです。
まあスティーブジョブズのようなオンリーワンなクリエイティブクラスを目指すなら全てを満たす必要があるでしょうが、軽く副業をしようと思うくらいなら1、4、5辺りを押さえておけばいい気がします。
人が窓口だと安心するしわかりやすい
ところで、本書ではこんな一文があります。
銀行のATMや駅の券売機などに不便を感じたことのある人は多いでしょう。
相手が人間なら要望を口で言えば対応してもらえるのに、機械の場合は複雑な操作を自分でしなければなりません。コンピュータでも「できる」と言えばできるのですが、人間とって一番好ましいインターフェイスは、やはり「人間」の場合も多いのです。人によっては自動化された機械の方がコミュニケーションをとる必要がなくて楽だというかもしれませんが、人間の方が嬉しいという人も多くいることでしょう。
そのためこれからは、人間が「人工知能のインターフェイス」として働くことが多くなるでしょう。必要な情報は人工知能に与えてもらい、それを顧客に伝えるインターフェイスの部分だけを人間が担当するのです。
この一文を読んだとき、私は専門的な知識が必要な「人に教える」系や「代行」って副業に強いなと思いました。たとえばコレ。
Notionという多機能メモアプリ(?)の活用例・使用方法の紹介です。
こういう便利なんだけど知られてないアイテムの紹介+使用例って動画プラットフォームとの相性もいいし、必ず一定数の需要が見込めますよね。
他にもたとえばやり込んでるゲームがあるとしたら、そのゲームでみんなが気になるパーティー解説だったり、効率的なレベル上げ方法だったり、相性のいい武器の組み合わせなどなど、需要が見込める部分ってたくさんあるんですよね。
代行で言えばWord Press(ブログのこと)の初期設定なんかは、少しの専門知識だけで問題なくできるようになるわりに、初期設定はやってほしいと思ってる人を結構見かけます。
コンピュータの窓口と聞いて、こういう形もあるのかなと思いました。
本来、人に教えるって行為はなかなか収益化しにくい分野です。
というのも、人を集めて塾を開くという手順がとても労力のいるものだからです。
しかしネットの発達で人を集めるのは用意になり、GoogleAdsenseやアフィリエイトといった広告収入のおかげで無料で知識を分け与えても収益を上げることが出来るようになりました。
これも「先人が出来なかった理由」の一つですよね。
終わりに
ということで、これからの働き方についてでした。
昔から「技術職は食いっぱぐれない」なんて言葉がありますように、これからは誰もが専門性を持つべき時代なんだなと思いました。
ただまあ、いま学生で進路を迷ってる方とか特別な専門性を持たないまま大人になった方がどうすればいいかという問題は難しいところで、そういう人たちはまず自分の好きなことでいいから「ノウハウを作るノウハウ」を身に付けるべきかなと思います。
わかりやすくいうと「教科書の作り方」を覚えるって感じですね。
ネットですぐ攻略法を探すのではなく、自分で考えて最善手を探す訓練を続けていけば、なりたい専門職を見つけたとき役に立つんじゃないかなと思います。遊び感覚で身につくスキルとしては上等じゃないかと。
今回参考にした本はコチラ。
落合さんってちょっと難しい言葉や、あまり一般的でない言葉も結構使ってくるので読むのは少し大変なんだけど、そこで意味を調べて何を言ってるのかしっかり考えると、新しい言葉を覚えられるし理解も深まるのでスマホ片手に読むのがオススメです。
意味を調べず読んでると本書は全然頭に入ってこなくて浅い知識しか残らないんじゃないかと。
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それでは今回はこの辺で。
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