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知らないと大損する2015年以降の『集中力』新常識と簡単テクニック3選

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何事においても集中力は必須のスキルな訳で、過去にも多くの本が出版されてきました。
そういった本は大抵なにかしらの研究を元に根拠を伴って紹介されてるはずです。
・・・が、近年の研究によって過去に常識とされてた手法が覆るとか、もっと効果的な手法が見つかるなど、過去に『集中力』について学んだ方にも非常な有用な本が発売されました。

なので今回は、年間5000本の論文を読む鈴木祐氏の著書『ヤバい集中力 1日ブッ通しでアタマが冴えわたる神ライフハック45』から、集中力の新常識と使いやすいと思ったテクニックをご紹介します。

 もくじ

1.そもそも集中力という単一の能力は存在しない

集中力という言葉は世間的に広く使われている言葉だが、厳密には集中力という単一の能力は存在せず、以下の4つの要素から成り立っている。
自分に集中力がないと思う人は、どのステップでつまづく事が多いのか思い出しながら読んでほしい。

自己効力感(自分はやれば出来る子! というセルフイメージ)
モチベーションの管理能力
注意の持続力(ある特定のことに対して注意を向け続ける力。一般的に『集中力』と呼ばれるもの)
セルフコントロール能力(誘惑に流されないように我慢する能力)

これらどれか一つでも欠けるだけで、集中力という能力は機能しなくなる。
順番に説明していこう。

自己効力感とモチベーション管理能力

先程も述べたように、自己効力感とは自分はやれば出来る人間なんだ!というセルフイメージだ。この能力が無いと簡単なことでも「自分には出来ないかも・・・」と弱気になり、モチベーションが沸き上がらないので作業に取り掛かりにくくなる。
この能力を上げるには、過去に色々なことを乗り越えて少しづつ自信を付けていくしかない。厳しい言い方になるが、上記の理由から新しいことにチャレンジせず保守的な人は、そうでない人と比べて高い集中力を得るのは難しいだろう。

モチベーションの管理能力についてはほぼ説明不要だろうが、やる気がなくても頑張ってヤル気を高める能力だ。
この段階でつまづいてる人は、後述する「達成バイアス」を特に参照してほしい。

注意の持続力

世間一般的に『集中力』と呼ぶものが、この『注意の持続力』の事である。
ある特定のことに注意を向け続ける能力で、余談になるが、記憶力選手権に出場する人たちはこの能力がズバ抜けて高いらしい。

この能力は、一般的な大人だと20分が限界だと言われている。
もちろん、訓練すれば時間を伸ばすことは可能であるが、それでも60~90分が限界だと言われている。

セルフコントロール能力

日本語で言えば自制心とか意志力と呼ばれるもので、誘惑が目の前にチラついても我慢できる能力を指す。
この能力は前頭前皮質(いろいろな判断や理性を司る部位)が疲弊してればしてるほど落ちる。簡単に言えば疲れてるときほど自制心が下がるという訳だが、この特性が災いし、集中力に関する大きな間違いが流布されている。

 

2.意志力に関する新常識

意志力は減らない

これまでは『意志力は有限のリソースであり、何かを我慢すればするほど意志力は減るもの』と考えられていた。この考えは1990年代から広まり、スタンフォード大学などの一流機関がお墨付きを与えたこともあって、多くのビジネス書に「意志力は減るもの」という記載されている。
ところが2014年にマイアミ大学が「自我消耗」に関する過去200件近いデータを再分析したところ「出版バイアスがかかってる」という結論を出した。出版バイアスとは都合のいい実験結果だけを取り上げ、事実を捻じ曲げることを意味する。
そこでカーティン大学が2016年に2141人の被験者を対象に「自我消耗」に関する追試を行ったところ「意志力が減るという科学的根拠は見られなかった」というコメントを発表した。

意志力は糖分で回復しない

さらに、糖分を摂ることで意志力が回復するという研究にも疑問符がついた。
2015年に行われた「血糖値と意思決定」に関する36件のデータをメタ分析したところ「血糖値は食事が影響する物事にしか影響を及ぼさない」という結果が出たのです。
これがどういうことかと言えば「ケーキが食べたいという食事に関する欲求を、アメ玉をなめることで我慢できるようになる」が、「勉強を止めたいという食事以外の欲求を、アメ玉で我慢できるようにはならない」ということだ。

推測だが・・・

ここからは情報を元にした私の推測だ。
おそらくオヤツを食べることによって、世間一般的に言われる集中力(正確には注意の持続力)が回復することはなさそうだが、とはいえオヤツを食べることを完全に否定するつもりはない。
オヤツをご褒美にすることによって外発的動機づけにはなるので、モチベーションの再燃という観点からは多少の効果があるはずだ。
なのでもしオヤツをご褒美として食べてるのではなく、糖分の補給として作業しながら食べているのであれば完全に無意味と思われるので即刻止めるべきだろう。そして、これからはオヤツをご褒美として「作業する時間」と「オヤツを食べる時間」で明確に分けることをオススメする。

 

3.集中力に関する新常識

これまでの常識

以前までは脳のリソースは使えば使うほど減るのだから、重要で難しい作業は朝一番にやるべきというのが定説だった。
実際に午前と午後では前頭葉の疲弊具合が違い、集中力が無くなることが何度も確認されている。理屈的にとても納得できる理論だった。

新しい常識

ところが、ハーバードビジネススクールが500人の被験者を対象に実際に実験したところ、一番最初に難しい作業をしたグループより、手っ取り早く終わる簡単な作業を終わらせてから難しい作業を行ったグループのほうが、作業をこなした量が多かった。
これは「達成バイアス」と呼ばれるものの影響で、一つの作業を完了させるごとに脳は達成感を覚え、自己効力感(私はやれば出来る!って感覚)が増し、ドーパミンが放出されることでモチベーションと集中力(注意の持続力)が上がるからだ。

これをビジネスマンが応用するなら今日のToDoリスト作成や机の整理などから始めれば良いだろう。学生なら「宿題はすぐ終わるものや好きな教科からやる」などか。各自創意工夫を持って応用されたし。

 

4.集中力を維持する簡単なテクニック3選

タスクブレイク

タスクブレイクとは、行き詰まったり集中力が落ちてきたら簡単な作業を挟むことでモチベーションを維持するテクニックだ。
簡単な作業を間に挟むことで、先ほど紹介した「達成バイアス」が起こり、自己効力感が増してドーパミンを分泌し、集中力を取り戻すという流れになる。
これに似た手法については以前から存在しており、深い集中を必要とする作業の休憩には、皿洗いなど何も考えなくても出来るシャローワークを当てようというものだ。詳しくはカル・ニューポート氏の著書『DEEP WORK 大事なことに集中する』を参考にするのがいいだろう。

ポジティブリソース法

次に紹介するポジティブリソース法はミシガン大学が考案したテクニックで、『目標達成できずに自責の念に駆られたら、何か別の仕事や勉強に役立つ新しいことに挑戦しよう』というものだ。
こちらも結局は別のことにチャレンジして自己効力感を上げ、モチベーションを維持しようというものだろう。このとき大切などは「自分の強みの分野」に挑戦するか、「新しく学べるもの」を選ぶことだという。
なお、鈴木氏は「失敗に対してもっと積極的になりたい人が使ってください」と述べている。

レスト・オブ・ライフ

最後は個人的にも気に入ったレスト・オブ・ライフだ。これはいまの悪い状況が「自分には集中力がない」とか「目標達成できそうもない」という確たる証拠になるか?と問いかける方法だ。
常識的に考えれば一回の失敗くらいで、自分がダメな人間だという確たる証拠にはならない。これによって自責の念をやわらげ、自己効力感の減少を抑えることができ、その結果モチベーションや集中力の低下を引き起こしにくくなる。

 

終わりに

というわけで、集中力についての新常識でした。
むかし集中力について勉強した人にほど、驚きが大きい内容だったのではないでしょうか?
私は意志力の定説が覆ったという話は耳にしてましたが、どのような背景があったのかは知らなかったのでとても面白かったです。
また、下記記事にて読書感想・レビューも行っておりますので、本書が気になったかたは参考にしてみてください。