最近になって完璧主義の弊害が大きく取り上げられるようになりました。
そのため「完璧主義を止めたい!」と思ってる人も多いのではないでしょうか?
しかし巷に溢れる「8割の完成度でOK」とか「完璧よりも完成を意識する」と言ったアドバイスは、頭ではわかっていても実践するのは難しかったりします。
なぜ、わかっていても実践するのが難しいのでしょうか?
答えは完璧主義に陥る心の機敏を自分自身が理解してないからです。
というわけで今回は『完璧主義』について
完璧主義のデメリット・思考回路・メンタルブロックを外すアドバイス・完璧主義を脱却する心理テクニックの4段階に分けて徹底的に解説していきます。
完璧主義のデメリット
まず結論から述べます。
完璧主義者でいる事のデメリットはかなり大きいです。
その理由について2018年に臨床心理学者のアリス・ボイスが纏めた完璧主義と優柔不断に関する先行研究のレビューが参考になるでしょう。
決断できない
完璧主義者は悩み過ぎて決断を下すことができません。
そのため完璧主義者は頻繁に先延ばしする習性を持っています。
これが一番大きなデメリットと言えるでしょう。
周りの人に嫌われる
完璧主義者は周りの人にも高い成果を求める傾向にあります。
そのため完璧主義者は周りの人たちから嫌われやすいそうです。
しかももし仮に完璧主義者が実際に成果を出すほど優秀な人物でなかったのなら、周りの人からは「アイツ大して何もやってねーのに口だけはいっちょ前でウゼェな」という最悪なことになりかねません。
過去の失敗を引きずる
完璧主義者は過去の失敗を引きずる傾向があります。
これは「俺はほんとにダメなやつだな・・・」と自分を傷つける原因になりますし、そうやって自己肯定感を下げると余計行動力を無くしていきます。
近年の研究では、完璧主義者が「セルフコンパッション(自分を許せる能力)」を高めると行動力を向上させることがわかっていますが、おそらくこの『過去の失敗を引きずる』のをセルフコンパッションで抑えることができるようになるからでしょう。
完璧主義者の思考順序
さて、ここからは脱・完璧主義をするために「そもそも完璧主義者はどういう思考順序をしてるのか?」を詳しく考えてみましょう。
実際に自分の思考に当てはまってないかチェックしてみてください。
完璧主義者は「知・覚・考・動」
完璧主義者は「知って」「覚えて」「考えて」「行動」というプロセスを踏みます。
そのため「知(ち)・覚(かく)・考(こう)・動(どう)」です。
実際あなたも何か決断するときは
1.情報を知って(集めて)
2.覚えて(理解して)
3,考えて(それら情報を吟味して)
4行動(最終決断)
という風にしていませんか?
逆に「それ以外の方法があんのかよ?」と思う人だっていると思います。
その答えは少し置いといて・・・なぜ「考えてから行動する」なのでしょうか?
根底にあるのは「効率」「コスパ」「失敗回避」
その1つは「効率」や「コスパ」というベストパフォーマンス主義である点。
もう1つは「失敗したくない」という恐怖心です。
さて、効率やコストパフォーマンスを重視すると何が起こるのか?
それは必要以上に情報を集め、色々な判断基準から評価しようとします。
しかし残念ながらアナタの全てのニーズを満たす条件は絶対に見つかりません。
なぜなら一つの評価基準で最高のものであっても、他の評価基準で見たら最高のものは別にあるからです。そのわかりやすい例は「値段」と「品質」でしょう。
安いものを買おうとすると品質が立たず、品質が良いものを買おうとすると値段が立ちません。なのに「俺はどっちも満たす商品が欲しいんだ!」となってるのが完璧主義なのです。
失敗したくないという心理も行き着くところは同じです。
必要以上に情報を集め、色々な角度から情報を精査し「失敗しないために値段も品質もどっちも満たす商品を探さなきゃ!」という思考に行き着きます。
けれど先ほど申したように、アナタの全てのニーズを満たす条件のものは絶対に見つかりません。
脱・完璧主義人間へ
では先ほどの答えに移りましょう。
完璧主義ではない人の思考は「知・覚・動・考」です。
非完璧主義者は「知・覚・動・考」
読み方は「知(とも)・覚(かく)・動(うご)・考(こう)」です。
わかりやすいキャッチコピーですね笑
完璧主義者と違う点は「動」と「考」が逆になってる点です。
しかし「行動してから考えるってどういう意味だ?」となった人も中にはいらっしゃるかもしれませんが、行動のあとには必ず結果が現れますよね?
その結果を踏まえ改善点を考えるのが「動→考」です。
わかりやすくまとめてみましょう。
1.情報を知って(集めて)
2.覚えて(理解して)
3.行動して(実際にやってみて)
4.考える(改善点を考える)
これが完璧主義者じゃない人の思考法ということですね。
机上の空論は効率に結び付かない
さて、そうは言っても「それって非効率的じゃない?」と否定的意見があることと思います。
しかし実際のところはそんな事ありません。
社会は改善に改善を重ねて発展を遂げています。
そもそも最初から完成形が世の中に出回った例などあるでしょうか?
どんなことであれ実際にやってみないとわからない点はあり、脳内で考えたことには限界があります。最初から完璧なスタートを切るなんて無理なんです。
究極の非効率は「時間を使って計画を練ったのに結局行動しないこと」です。
失敗を許せるようになれ
失敗を許せるようになることはとても重要です。
なぜなら非完璧主義者の「ともかく動こう」思考では、失敗を前提としているからです。
さきほど完璧主義の人が自分を許せるようになると行動力が上がる事もお伝えしました。なので
これからは失敗なんて気にせずガンガン行こう!
……とすぐに思考を切り替えられればいいのですが、実際のところ頭でわかってもすぐに完璧主義の呪縛から逃れられないと思います。
なので最後に失敗を恐れず行動できるようになる心理テクをご紹介します。
メタ認知
人間は自分のことになると判断能力が低下することがわかっています。
そこで登場するのがメタ認知です。
メタ認知を簡単に説明すると、第三者視点で自分のことを見ることになります。
このメタ認知能力を発動させるのに有効な手段の一つが「もしこの状況に遭遇してるのが友人だったら、自分はどんなアドバイスするか考える」ことです。
たとえば好きな人に告白したいと思ってるけど告白する勇気が持てない友人がいた場合、あなたは何てアドバイスするでしょうか?
「好きってちゃんと言葉にしないと伝わらないよ?」
「告白しなかったら後で絶対後悔するぞ」
「きっと成功するって! だから頑張れ!」
おそらくこういったポジティブな事を言うと思います。
けれど実際に自分が告白する立場だったら
「振られたらどうしよう……」
「まだ告白するのは早いんじゃないか・・・?」
そういったネガティブな感情を抱きがちです。
同じことに対してなのに、主観的に見るか客観的に見るかでこうも考えが変わります。
心理学の実験では客観的に問題を捉えたグループは主観的に問題を捉えたグループよりも柔軟な発想力を有し、適切な解答を導き出す確率とスピードが高まることがわかっています。
なのでもし「ともかく動こうってわかってはいるんだけど……」と尻込みしてしまった時に使ってみてください。
また、完璧主義すぎて細部にこだわり何時までも作業が終わらせられない時にも「俺の立場が友人だったら?」を考えてみてください。きっと「そこまでこだわらなくてもよくね?」となるでしょう。
終わりに
というわけで脱・完璧主義マニュアルでした。
こうやって自分の思考や行動を紐解いていくと、いかに私たち人間は自分で思っている以上に自分のことを理解しておらず、コントロールできてないかがわかりますね。
私も以前はかなりの完璧主義だったんですが、今ではその傾向がかなり低くなっています。
それはやはり「失敗して恥をかきたくない」という思いや、主観的に考えることで失敗を必要以上に恐れてたからだと思います。
メタ認知のトレーニングをしてからは明らかにそう思う回数が減りました。
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